漂泊者のリスト、日々の歩き方/『太陽のパスタ、豆のスープ』(みんなの本気読書感想文)

人が死ぬ瞬間に遺す、いくらのような赤い珠。口にしたものは、死者の最期の願いが見えるという―。十数年前の雑誌に一度だけ載った幻の漫画『ぎょらん』。作者の正体も不明ながら、ネット上では「ぎょらんは本当に存在する」という噂がまことしやかに囁かれていた。三十路のニート、御舟朱鷺は、大学一年のときに口した友人の「ぎょらん」に今も苦しんでいると語るが…。とある地方の葬儀会社で偶然に交錯する、「ぎょらん」を知る者たちの生。果たして「ぎょらん」とは一体何なのか。そして死者の願いは、遺された者に何をもたらすのか―。「R‐18文学賞」大賞受賞作家が描く、妖しくも切ない連作奇譚。

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レコメンドレビュー

いこ(@isked3122)

焦ってはいませんか。
今のあなたに解決する力は残っていますか。
考えすぎて八方塞がりになっていませんか。
やりたいことを忘れていませんか。
いつのまにか封をしてしまったことはありませんか。
日々のごはんをおろそかにしていませんか。
もしそうであったら、この本を読んでください。きっとあなたを淵から掬い、毎日をおいしくする方法を教えてくれます。日々の歩き方を教えてくれます。

メインレビュー

以下、内容やネタバレを含む場合があります

 日々の歩き方をこの本は教えてくれた。教科書にも載っていないし、学校の先生も教えてくれないけれど、とてもあたたかくて大切にしたいと思った。
 とんでもなく落ち込むとき、自分にはどうしようもないから落ち込む。それなのに、何かしなければと焦ってしまう。ただ、然るべき時に動き出さないで塞ぎこんだままでいると、どこからか腐り始めて、カビが生えてくる。
 ドリフターズ・リストは最適のアイテムかもしれない。リストに書くのは、「~しなければならない」という義務ではなくて、「~したい」という願望だ。願望だから焦る必要もないし、消したければ消せるし、修正や加筆も可能だ。そして、願望を叶えるのは自分自身だ。ランプの精でもいてくれればいいのだが、現実はそうではない。でも叶えるのは自分自身なのだから、動けるようになるまでそのときを待てばいい。ドリフターズ・リストにはすでになにをやるのか決めておいているのだから。動き始めたらすぐに前に進むはずだ。
 あすわがドリフターズ・リストに向き合いながら、恢復していく様子はこちらの心までこねて柔らかくしてくれる。コースをひたすら走り続けるんじゃなくて、漂泊者で流浪していていいんだと心安らいだ。
 ドリフターズ・リストに加え、もう一つ印象的なのはごはんだ。
 「あすわ、毎日のごはんがあなたを助ける。それは間違いのないことよ」
 これはあすわのお母さんのセリフだ。私も人生を豊かにするものとして、ごはんは最重要のものだと思う。ル・クルーゼの鍋を買ってみるのも、初めてのレシピを本見ながら作るときの背筋が少し伸びる感覚もわかる。せっかく毎日食べるごはんをちょっとでもおいしいものにしたいと思うもの。
 そして、ロッカさん、京、郁ちゃん。みんなとてもチャーミングなキャラクターだ。ロッカさんはひとり飄々としていて、京はトランスジェンダーというマイノリティな境遇に強く生きている、郁ちゃんはとにかく愛らしい。そんな三人に憧れを抱かずにはいられないし、その憧れが焦らせる。でも、等身大でいいし、他人が自分の願望を叶えてくれるわけではないし、なにより、ロッカさんのように小躍りして、準備しておくのが大切なんだと思う。

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