前作『社会人大学人見知り学部卒業見込』から約4年ぶり、新作の舞台はキューバ!航空券予約サイトで見つけた、たった1席の空席。何者かに背中を押されたかのように2016年夏、ひとりキューバへと旅立った。慣れない葉巻をくわえ、芸人としてカストロの演説に想いを馳せる。キューバはよかった。そんな旅エッセイでは終わらない。若林節を堪能できる新作オール書き下ろし!
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レコメンドレビュー/遊川藤万
「人生を変えた一冊」があるとしたら、この本はその対極、僕にとって「人生を変えずに済んだ一冊」だった。僕の敬愛する若林正恭という人間は、根暗で、人見知りで、ひねくれ者で、内弁慶で、一人が好きで、とても面倒くさい人間だった。この本を読んで感じた若林正恭という人間は、前向きで、人と触れ合って、少し捻くれてるけど、外向的で、それでいて少しだけ面倒くさい人間だった。僕が仲間だと思っていたあの人は、もうどこか遠くへ行ってしまったのだと思った。初めてその存在を知って、深く共感して、憧れた日から、もう十数年も経過している。人は変わる。当たり前のことなのかもしれない。
もちろん寂しさはある。仲間だと思っていた人間が、気づけばずっと先を歩んでいた。僕は置いてけぼりを食らってしまった。それでも、変われないと思っていた自分に、「変われる」ということを示してくれた。「変える」のではなく「変わる」ことがあるのだと教えてくれた。同じ場所にいなくても、その背中を見て生きていける。僕は幸福だと思う。敬愛するその人が示してくれた道を、自分なりに歩いていけばいいと思った。
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