『2020年の恋人たち』と2021年も独りの僕(みんなの本気読書感想文)

出会って別れて、また出会って―あと死ぬまでに何度繰り返すのだろう。ワインバーを営んでいた母が、突然の事故死。落ち着く間もなく、店を引き継ぐかどうか、前原葵は選択を迫られる。同棲しているのに会話がない恋人の港、母の店の常連客だった幸村、店を手伝ってもらうことになった松尾、試飲会で知り合った瀬名、そして…。めまぐるしく変化する日常と関係性のなかで、葵の心は揺れ動いていく―。

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レコメンドレビュー

2020年は何をしていたかなと思い出していた。世界が揺れ動く中で、僕は部屋のなかでじっと本でも読みながら過ごしていた。きっとそれは間違いだったのだと思う。もちろん部屋でじっとすることではなく、この本を読んでしまったことが。なぜなら僕は読んでしまったために人に会いたくなったから。恋愛がしたくなったからだ。

恋愛賛歌とは言えない生々しく緻密な世界に触れて、愛も恋も幻想だと思えたら幸せなのかもしれない。地に足のついた恋愛こそが正義だと、鼻で笑えたらよかったのかもしれない。

恋愛のあり方なんて多種多様で人それぞれ正解は違う。きっとそうなのだろう。

読んでしまったら、自分にとっての正解がもっと分からなくなる。それゆえに確かめたくなる。自分にとっての、愛とは。恋とは。

メインレビュー

以下、内容やネタバレを含む場合があります

女性が主人公の恋愛ものを手に取ったのは、多分、きっと僕に取って都合が悪いだろうと思ったからだった。案の定、登場する男性はどこにでもいそうなタイプの人も、そこらにはいないであろうタイプの人も、皆それぞれいけすかない部分があって、主人公の葵さんは揺れ動きながらも彼らを選ばなかった。その姿に安堵している自分が嫌だった。

女性の目に映る男性の身勝手さや浅ましさや、透けて見える下心や、姑息さや矮小さ。その全てを否定するのを目の当たりにして、分かった気になる愚か者な自分が嫌だった。

女性と男性はそもそもが異なる生き物で、理解しようとする方が間違っていると、どこかで聞いたことがある。それはきっとそうなのだと思う。それをぼんやりと理解した上で、それでもどこかに…と期待を捨てきれない自分を自覚している。それを否定されて、少し傷ついている、ダメージを負える自分に満足する。完全なるマッチポンプなのだ。

物語の最後に、葵さんはお母さんからの手紙を発見する。女性同士でも分からないことがある。男性だから、女性だからではなく人間同士の問題だと、漠然と感じる。だけど僕は、それで救われたくはなかった。

恋愛について考えると、いつでも自己嫌悪に陥る。

自分の中の恋愛観は、どこまでも自分にとって都合が良い。

そもそも自分の中で用意していた模範解答が、自分にとっての正解とは限らない。

理想も幻想も無意味で、その時々の相手や時間や空間を愛せなければ意味はないのではないか。

そんな禅問答みたいな答えの無い自問自答を繰り返すのは、それでも恋愛というものを嫌いになりたくはないからなんだと思う。

そして考えすぎると、少し開き直りたくなる。今は「恋愛を嫌いにならないためにも、高過ぎないちょっとした理想は必要!」って時期のようです。

なので、この本を読んで「どの男も無いね」って、そう言って笑ってくれる女性が、この日本や世界中にどれほどいるのかは分からないけど、もし出会えたらその時は一緒に乾杯したいと思う。(⇦ちょっとした理想)

そのどこかの誰かが、どこにもいなくても、まあいいかと思えたので良しとしたい。

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